2015.08.13
本来、契約は、契約締結自由が原則なはずです。
では、どうしてクーリング・オフ(契約の無条件解約)などが認められる場合があるのでしょうか?
<民法の原則>
民法には明文化されていませんが、当然の原則として、民法の3大原則があります。
民法の三大原則とは以下の3つを言います。
1.権利能力平等の原則
2.所有権絶対の原則
3.私的自治の原則
人によっては、過失責任の原則を加えて4大原則とう方もいますが、これは、
私的自治の原則に包含されると考えてよいでしょう。
この中の3番目「私的自由の原則」の中には、契約自由の原則が含まれます。
契約自由の原則
契約締結の自由…契約をするかしないかを自由に決められる
契約相手方の自由…契約の相手方を自由に決められる
契約内容の自由…契約の内容を自由に決められる
契約方法の自由…契約の方式を自由に決められる
つまり、「当事者が自由にどんな相手方とも、どんな内容の契約でも、口頭でも書面でも
双方が合意すれば契約は成立する」というのが原則です。
<民法の原則が制限される場合があります>
いくら契約自由といっても契約自体が無効になる場合があります。
それは、以下のような場合です。
1.公序良俗に反する契約
たとえば、殺人・暴行の請負など公序良俗に反する契約は無効です。
2.強行規定違反
強行規定(公の秩序に関する規定)に違反する契約も無効です。
強行規定の例としては、利息制限法など制限利率を超えた部分は無効になります。
即ち、法律が契約に優先する場合があるのです。
さて、前置きが長くなりましたが、前回ご紹介しました消費者契約法、特定商取引法などには、
多くの強行規定が存在します。クーリング・オフ制度などは、その典型です。
これらの強行法規が制定された背景には、民法だけでは対応しきれない悪質な販売行為など
による多くの消費者トラブルが発生したことに由来します。
消費者契約法は、消費者と事業者の間には情報力・交渉力などに格差があることを前提とし、
弱い立場にある消費者の利益擁護を図ることを目的として、平成12年4に月制定されました。
特定商取引法は、消費者と事業者の間でトラブルになることが多い取引について、事業者が
守るべきルールと、クーリング・オフ等の消費者を守るルールを定めています。
これにより、事業者による違法・悪質な勧誘行為等を防止し、消費者の利益を守ることを
目的として旧訪問販売法(訪問販売等に関する法律)をご先祖として発展した法律です。
前回も紹介しましたが、対象となる取引類型は以下の通りです。
①訪問販売②通信販売③電話勧誘販売④連鎖販売取引⑤特定継続的役務提供
⑥業務提供誘引販売取引⑦訪問購入の7つです。
トラブルに巻き込まれないよう、巻き込まれた時のためにも正しい法律知識を知っておくことを心掛けましょう。
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