消費者を守る法律(2)

2015.08.12

昨日に続き、特定商取引法のお話です。また、札幌の実家でのお話です。

昨年のことですが、買取り業者から電話があり、貴金属の買取りに伺いたいとアポイントの

電話があり来てもらった.

今度は、特定商取引法改正後なので「購入しようとする物品の種類」を明確にしたアポイントだった。

 

その業者は、貴金属を査定し金額を言い、こんな高値で買い取るところは他にないと言ったそうです。

後日、私が、帰省した際に、その業者が査定したものを、田中貴金属系のお店で査定してもらったところ

40%くらい高い査定でした。契約していたら大損をしたことになります。

 

もし、契約していたらどうでしょう?泣き寝入りですかね?

ここで、消費者を守る法律の出番です。

 

前回も書きましたが、特定商取引法の取引類型に訪問購入が追加されましたので、現在は、契約したとしても

クーリングが認められています。

クーリング・オフとは、申込みまたは契約後に法律で決められた書面を受け取ってから訪問購入の場合は、

8日間消費者が冷静に再考して、無条件で解約できることです。

 

また、買い取られた物品が第三者に渡っている場合など返却が困難な場合があります。

このため、特定商取引法では、クーリング・オフ期間中は、物品の引き渡しを拒絶、つまり引き渡さないで

手元に置いておける権利も規定されています。(法第58条の15)

そのほか、法律では業者がしてはいけないことも規定されていますので、知っておくと心強いでしょう。

上記の事例でも「こんな高値で買い取るところは他にない」という勧誘は、「事実と違うことを告げること」という

禁止行為に該当する可能性もあります。

 

<参考>

特定商取引法は、訪問購入において以下のような不当な行為を禁止しています。

 

1.売買契約の締結について勧誘を行う際、または契約の申込みの撤回(契約の解除)を妨げるために、

事実と違うことを告げること

2.売買契約の締結について勧誘を行う際、または契約の申込みの撤回(契約の解除)を妨げるために、

故意に事実を告げないこと

3.売買契約を締結させ、または契約の申込みの撤回(契約の解除)を妨げるために、相手を威迫して困惑させること

4.売買契約の対象となる物品の引渡しを受けるため、引渡し時期その他物品の引渡しに関する重要な事項について、

故意に事実を告げない、事実と違うことを告げる、又は相手を威迫して困惑させること。

 

違反した事業者は、業務改善の指示(法第58条の12)や業務停止命令(法第58条の13)の行政処分のほか、

罰則の対象となります。

 

特定商取引法が改正され、訪問購入における消費者の権利が明確にされましたが、実際問題として物品を

渡してしまったら返却させるのは困難な場合が多いようです。

ですから契約前に以下のことを徹底しましょう。

 

<まとめ>

 

①買い取ってもらうつもりがないなら断る。

②訪問した業者が自宅に居座るなど怖い思いをしたときは警察を呼ぶこと。

③契約前に、業者の住所や電話番号確認、古物商許可証等の提示を求め、内容を確認し書き留めておくこと。

こうした要請にきちんと対応しない業者とは契約しないこと。

④買い取り条件などが明記された書面をもらうこと。買い取り価格の計算根拠や、買い取り条件を確認した上で、

それらのことを書面にして受け取っておくこと。

⑤何かあったら最寄りの消費生活センターや警察に相談すること。