2015.07.29
皆さんがレストランで食事した後の感想の中に以下の3つのどれかが必ずあると思います。
1.期待以上に良かった。
2・期待通りだった。
3.期待はずれだった。
飲食業を含む所謂サービス業は、基本的には「経験品質」(経験してみないと品質が分からない)
であるので、特に初めてのお客様は、サービスに対し期待したり不安を感じたりします。
ちょっと難しい言葉で言いますと、顧客の抱く事前期待及び知覚リスクということになります。
お客様の抱く事前期待を裏切ることは、お客様の感じるサービス品質を大いに劣化させることに
なりますし、また、事前の期待が小さい、又は事前の不安が大きいと、そもそもお客様が来ない
ということにつながります。
<期待してたのに!ある体験談>
私の研究仲間が、夏休みお子さんを連れて家族で某牧場レストランに行きました。
そのレストランは、「牧場の中にあって、牧場を見ながら食事ができる」という宣伝の謳い文句
による事前期待をお客様に抱かせていました。
しかし、実際は、全く牧場は見えなかったそうです。
この結果、その研究仲間は、期待を裏切られ、食事はおいしかったものの品質が悪いと感じ、
二度と行きたくないという感情を創出してしまったのでした。
これは、サービスとして企画した、「牧場を見ながら食事ができる」が実際提供できず、
事前期待を裏切り、不満足となった事例です。
この辺りは、アメリカのマーケティング学者のベリー、パラスラマン、ザイタムルはじめ日本の
研究者も多くの研究発表をしています。
ここでは、ご紹介できませんが、ベリーさんたちが作った「SERVQUAL」という造語は、有名
なのでご存じの方も多いと思います。
サービス(Service)と品質(Quality)を組み合わせた造語で、サービスの品質測定尺度です。
このような先人たちの考え方を前提、参考にしながらお客様の期待や不安について考えてみました。
<お客様が抱く期待のレベル>
お客様が抱く期待には二つのレベルがあると考えました。
1.「望ましい水準の期待」(顧客が望む理想的サービス水準)、
2.「受け入れられる、我慢できる最低水準」
ただ、この二つの期待水準は、ベリーさん達の説のように固定的なものではなく、
様々の条件によって変化すると考えました。
特に「我慢できる最低水準」は、同種サービスの経験回数などの影響を受けやすいと思います。
特に一度満足した顧客は、次から満足度における閾値が高まり、時系列でみて同じレベルの
サービスでは、満足度が下がる傾向になるでしょう。
期待を裏切るようなサービスの提供は、論外ですが、難しいのは、以前満足していただいた
サービスでも、常にリピーターが満足するサービス品質を実現していくには、顧客の期待の
把握によるサービスレベルの改善が不可欠となるわけです。
<今日のまとめ>
1.サービス提供者は、見込み客の抱く不安、即ち「知覚リスク」を取り除く努力をする必要がある。
(不安があるとお客様が来ないことにつながります。)
2.お客様を呼び込むには、大いに期待をもってもらわないといけない。
3.お客様の期待を裏切ってしまうとお客様を失ってしまうことにつながる。
4.リピーターが満足し、またリピーターになっていただくには、サービスレベルの改善が不可欠である。
特に2と3の関係難しそうですね。
それでは、どうしたら良いのか?(続く)
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