従業員を大切にする会社はサービスも良い(2)

2015.07.28

昨日の続きです。

実は、このテーマ(ES)で、5~6年ほど前にサービスを研究しているコンサルタントの方と

日本品質管理学会のシンポジウムで議論したことがあります。

その方は、メーカーのメンテナンス会社の役員をされた方で、著書も出されています。

その方の持論は、ESの仕組は必要ないというものでした。

理由は、お客様からの感謝の言葉があれば、モチベーションは維持されるからというものでした。

たしかに、サービス業の主体が、個人であればこの考え方で問題ないと思います。

 

しかし、サービス業の主体が組織となり、拡大していくと支援部門、企画部門、管理部門など

直接顧客に接しない部門が必要になったり、また、現場の人へのお客様の評価が上司や経営層に

届かない、届いても本人の評価にする仕組みがないでは、モチベーションの維持は難しいでしょう。

バリューチェーン(価値連鎖)が広がるにつれて、チェーンを構成する部門、人が増加して、それぞれに

モチベーション向上の仕組みが必要となるのです。

 

それでは、顧客に大きな満足、感動を提供するESの仕組みとはどんな仕組み?

 

以下の要素が満足された仕組みが理想です

 

1・継続的に改善サイクルを継続的にまわしていく

2.すべての部門の従業員のモチベーション向上が必要

3.単に賃金や福利厚生だけではなく

  ・直接顧客に評価される

  ・上司、同僚などまわりから認められ、評価される

  ・活躍するステージと役割が明確になっている

  ・自分の仕事に誇りがもてる         

  ・従業員が自ら経営に参加しているという意識、やりがいがもてる

 

<ESについて考えるヒント> 

 

顧客満足度の高い企業、団体の一流経営者の言葉をご紹介します。

 

  • 川越胃腸病院望月医院長の言葉

職員に満足や幸福を感じさせることのできない病院では、患者様に満足を提供することはできません。」 

 

  • リッツカールトンホテル創業者シュルツイ氏の言葉

「人が仕事をする上で一番うれしい事は何か。それは、自分をきちんと評価してくれる人、自分の

思いや考えを共有出来る人、つまり自分に関心をもってくれる人が近くにいることだ」

 

  • ニューヨーク・プラザホテル総支配人ヒューズ氏の言葉

お客様が感じて下さるワクワク感は、そのホテルのスタッフが醸し出すワクワク感を

 超えることは、決してないのだ」

 

<残念なことに>

 

2010年に日本品質管理学会の「サービス産業における顧客価値創造研究会」にて

サービス産業における顧客価値創造に関する実態調査を行いました。

 

調査は、サービス業だけでなく製造業も含めた全産業で、2010年09月21日 ~ 2010年09月27日まで

web 調査を行い回答数は、732社でした。

この調査の中で「あなたの会社は、従業員満足度を測定していますか?」という質問をしてみました。

 

→<結果>

結果は、なんと53%の会社が従業員満足度を測定していないとの回答でした。

残念ながら日本企業では、まだまだESに関する感心は低いという結果でした。

 

この調査から5年経っていますが、今はどうでしょうか。

マスコミなどでは、いまだにブラック企業の存在が話題になっています・・・。

 

 

(参考文献)

命輝くホスピタリティ(医療は究極のサービス業) 文屋     望月智行

ディズニーに学ぶ顧客循環力           学研新書   志澤秀一