従業員を大切にする会社はサービスも良い(1)

2015.07.27

世界的に顧客満足度が高く、リピーターが絶えないサービス業といえば、やはり、ディズニーランドと

リッツカールトンホテルでしょう。

実は、この異なる業態のサービス業には、共通することがあるのです。

紙面の都合もありますので、さっさと結論を言います。

 

<顧客満足度の高い企業の共通点とは>

 

1.従業員満足(ES)の仕組みがしっかりしている

  ES:“Employee Satisfaction” 

      単なる福利・厚生にあらず→参考:DisneyのESの考え方

2.ポリシー、経営哲学などが明確

     会社の思いが明確で従業員に浸透、行動判断のよりどころになっている

3.採用の段階から価値観に共鳴できる人材を採用

  たとえばリッツカールトンホテルでは、雇うことをセレクションという

4.コアサービスがしっかりしている

  確かな基本機能

5.おもてなしの仕組みがしっかり定着

  おもてなしの心が形に表れている

 

今日は、1番目にあげた従業員満足について書いてみます。

特にサービス業が、高品質のサービスを提供していくには、実際に顧客接点でサービスを提供している人は

もちろんのこと、サービスの企画担当、裏方(バックヤード)など普段顧客に接していない裏方も含めた全員

の品質の作り込みに対する意識と活動が不可欠です。

 

これらの裏方を含めた全員のモチベーションを支えるのが所謂、従業員満足(以下ES)の考え方です。

このESという概念は、単に賃金や福利厚生だけではなく、従業員が自ら経営に参加しているという意識、

「やりがい」がもてることが重要で、たとえば、ディズニーランドでは、一般的には、きらわれる掃除の仕事を

「カストーディアル」というあこがれの花形職種にし、「夢と魔法の国」をささえる高いモチベーションを持った

キャストにしています。

 

「ディズニーに学ぶ顧客循環力」の中で著者の志澤秀一氏は、ディズニーなどCS評価の高い企業を分析し、

ESを4つの階層に構造化して整理しています。

(ESの仕組みの事例:ESピラミッド参照、図の中のマズローのピラミッドは、私が追記したものです。)

志澤氏のこの考えは、著作の中では触れておられなかったですが、まさに心理学者のマズローの欲求5段階説

に対応し、心理学的側面からも合理的な考え方であると思います。

 

品質の高いサービスを提供し続けるには、あらゆるバリューチェーンのスタッフに、高いモチベーションを維持させ、

常にサービス品質を良くする活動に取り組まなければ、お客様に飽きられてしまうでしょう。

 

そのためには、経営者は、顧客と同じかそれ以上に従業員への配慮が必要で、顧客と同様、サービス提供

にかかわるすべての部門の従業員の声を把握し、不満の解消やサービス改善アイデアなどを

吸い上げていく仕組み作りが必要です。ディズニーやリッツカールトンホテルなど顧客から長年支持されている

多くの企業は、従業員を顧客と同等以上に遇しており、当然、従業員満足度も高いのです。

 

次回は、日本企業のおどろくべき実態を含め、従業員を大切にする会社はサービスも良い(2)です。ES