加賀屋さんのおもてなし

2015.07.24

昨日の続きです。

加賀屋さんは、何故、搬送装置に大きな投資をしたのでしょうか?

 

<その前に> 

加賀屋さんは、石川県にある、1906年創業の老舗温泉旅館です。

1977年から、旅行新聞新社が主催する「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」

(全国の旅館業者の中から選定)の総合部門1位として認定・表彰され以来33年連

続で総合「1位」を連続受賞している旅館です。

2010年に海外(台湾)に日本型の旅館を進出させたことでも話題になりました。

 

実は、私、加賀屋さんには、行ったことがないのですが、文献や加賀屋さんの経営者

のセミナーなどで仕入れた情報です。結構、高価格設定なのですが、一度は行ってみたい旅館です。

ここも、ディズニーランドのようにリピーターが絶えないようです。

顧客満足度が非常に高い旅館です。

 

<では昨日の続き> 

加賀屋さんは、何故、料理搬送システムに多額の投資をしたのでしょうか?

 

これは、やはり加賀屋さんのポリシーと深いかかわりがあるのです。

おもてなし重視の基本姿勢を貫く為の改善活動の一つなのです。

仲居さんは、接客係であって、料理運び人ではないというポリシーの具現化なのです

システムを導入したことでお客の部屋に料理を運ぶ作業労力を軽減・効率化すること

で、仲居さんがお客と接し、おもてなしをする時間と機会を増やし、サービスの質の

向上につなげることが狙いだったのです。

 

<まとめ>

運搬作業の効率化だけでは、決して採算の合わない投資は、仲居さんがお客様をおも

てなしする時間と機会を増やし、サービスの質の向上につなげることが狙いだったのです。 

加賀屋さんでは、このほかにも効率化とおもてなしを両立させる、いろいろな改善活動をされてい

ますので、いくつかご紹介します。

 

  • (保育施設の完備)

顧客満足度(CS)の向上には、従業員満足度(ES)の向上が不可欠との考え

 から1986年に保育園と母子寮を備えた専用施設「カンガルーハウス」を設置し、

 女性社員が子供を育てながら安心して働ける環境を整備しました。

 

(厨房の改革)

・板長に若手社員を起用

 切る、卵を割るなどは機械にやらせる。

 献立、味付け、きれいな盛り合わせなど人間にしかできないことを人間にやらせる。

 創造性を重視した人事をしたわけです。

 番頭さん(専務さん)が仰っていました、「うちの板さんは、卵が割れない」と。

 

 

加賀屋さんもこの考え方ですが

顧客満足度(CS)の向上には、従業員満足度(ES)の向上が不可欠です。

次回は、このテーマを取り上げたいと思います。

 

<大サービスおまけ>

加賀屋さんが保育施設を完備して、女性従業員が働きやすい環境を作っていると

書きましたが、実は、過去、同じ施策で大成功した人がいます。

 

それは、福富太郎氏です。年配の方なら「キャバレー太郎」といったほうがぴんとくると

思います。ハリウッドグループ創業者ですね。

福富氏は、ホステスさんを集めるアイデアを考えました。

それが保育施設をも設け、子供をかかえている女性が安心して働ける環境を

作ることだったのです。この施策で、1960年代大躍進をとげました。