2015.07.23
サービスという言葉は、いろいろな意味に使われています。
「おにいさん!これサービスしとくよ!」
この事例では、サービスという言葉が、「おまけ」とか「ただ」という意味に使われています。
日本人は、サービスはただと同義語思っている人が多いのではないでしょうか。
しかし、今や、サービス業という産業(日本標準産業分類によるサービス業)は、日本の
GDPの70%以上を超える日本の基幹産業になっているのです。
では、サービスとは何か、多くの研究者、実務者がさまざまな定義を試みています。
一番有名で、良く引用されている定義として、著名な米国のマーケティング学者フィリップ・コトラー
のサービス定義をご紹介します。
「サービスは、基本的に無形かつ所有の対象とならないものを提供する活動である。
物理的な製品と結びつけて提供される場合もある。」
サービスの4つの特徴(コトラー)
①無形性 :形がなく、目にみえず、購入前にふれることはできない。
②非分離性:サービスの生産と消費は同時に行われる。
③変動性 :提供者、時間、場所などで品質の差がでる。
④即時性 :在庫、保存できない。
この定義とサービスの4つの特徴は、多くの文献で引用され、これを前提に様々なサービス論が
展開されています。
私が参加している「サービスクオリティ研究会」では、独自視点からの定義を試みました。
ちょっと堅苦しいですがご紹介します。
<サービスの定義>
「人、物、構造物、組織がその機能を働かせ人や組織が
①その目的を達成する
②その価値創造を実現する
この為に必要な活動をお互いに経験を共有しながら代行、援助、支援すること」
と定義し、お客様が達成しようとする目的の達成や価値創造を支援、代行する 機能を
提供するのがサービスであるとしました。
また、サービスは、サービス行為に潜在する提供者が当初から意図していなかった効用を
顧客が受ける場合もあります。
進学塾は、生徒が希望の学校に進学するという目的、価値創造を支援することが
主なサービス機能であり、弁護士は、依頼者の法的処理の代行することが主なサービス機能と言えます。
しかし、たとえば、レストランでディナーを楽しむような場合、たまたま戦前からある建物にレストランが
あったため、歴史的重みなどを感じ郷愁感を味わい、感動したなどレストランが当初意図しなかった効用を
顧客が受けることもあると思います。
私たちの定義では、サービスを提供する主体(サービス提供者)は、人だけでなく組織(企業、団体など)や
無人洗車場のような構造物なども含むものとします。
歴史的にみると、以前は人がやっていたサービスを機械が取って代わるという現象が最近顕著です。
一例をあげますと、銀行業務などがあります。
かつては、窓口でしか受けることのできなかったサービスが 近年では、ATMの普及、発達により多くの
銀行サービスがATMで受けられるようになり、まさにサービスを提供している主体は、
「Automatic teller machine」 (tellerとは、銀行窓口の出納係のこと)直訳すると自動出納係装置
ということになります。
ちなみに、最近”teller”という言葉有名になっていますね。特に池井戸潤氏の銀行小説に出てきますね。
昨日(22日)も「花咲舞が黙ってない」がテレビでやっていました。
銀行は、機械で代行できるサービスは、機械で、人でしかできないサービスこそ人で行う。
合理的な考え方と思います。
機会でおもてなしの心はどうなる?と思われる方
→ここは、やはりお客様の目的なのです。お客様は、お金を引き出したいとき
急いでいますよね。早くすましたいがお客様の気持ちです。
また、なにか投資などの相談をじっくりしたいとき、対人で時間をかけて
お話したいですよね。
トータルで見ると「おもてなし」なのです。
北陸の有名な老舗旅館の「加賀屋」さんの有名なお話。
宴会の食事を運ぶのは以前は、仲居さんが運んでいました。
今は、自動搬送装置を導入し運んでいます。
しかし、ここで浮く仲居さんの手間を金額に換算しても、投資が全然
見合わない、大赤字なのだそうです。
「加賀屋」さんでは、何故そんなことをしたのでしょう?
→ 明日に続く
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