2017.01.25
著作権が制限される場合~その4
著作権が制限される場合の続きです。
その4:教育関係
(1)教科書等への掲載(著作権法第33条)
・すでに公表された著作物は、学校教育の目的上必要な限度内において検定教科書等に掲載することができます。
・検定教科書等に掲載する場合は、掲載する者は、その旨を著作者に通知するとともに、文化庁長官が定める補償金を
著作権者に支払う必要があります。
・出所の明示が必要です。
(2)教科用拡大図書等の作成(著作権法第33条の2)
・視聴障害、発達障害その他の障害により教科書に掲載された著作物を使用することが困難な児童又は生徒の学習のために、
既存の検定教科書の文字や図形を拡大した「拡大教科書」や電磁的記録の作成等その児童又は生徒が当該著作物を
使用するために必要な方式により複製することができます。
・教科書に掲載された著作物の全部又は相当の部分を複製する場合は、教科書発行者に通知する必要があります。又、そのう
ち営利目的の場合は、文化庁長官が定める補償金を著作権者に支払う必要があります。
・出所の明示が必要です。
(3)学校教育番組の放送等(著作権法第34条)
・すでに公表された著作物は、学校教育の目的上必要な限度内において、学習指導要領に準拠した放送番組、有線放送番組
で放送することができます。
・その著作物を教材に掲載(複製)することもできます。
・放送したことを著作者に通知することが必要です。
・著作権者に補償金を支払う必要があります。
・出所の明示が必要です。
(4)教育機関での複製(著作権法第35条第1項)
・営利を目的としない学校などの教育機関で教育を担任する者や授業を受ける者が、その授業の中ですでに公表されている著
作物を複製し使用することができます。
・必要な限度内の部数でその著作物の種類や用途などから判断して、著作権者の利益を不当に害しないことが必要です。
・慣行があるときは出所の明示が必要です。
(5)教育機関での公衆送信(著作権法第35条第2項)
・営利を目的としない学校などの教育機関が主会場で授業している授業を副会場に公衆送信にて同時中継する場合、主会場で
用いられている教材を副会場に送信することができます。
・すでに公表されている著作物で、主会場での教材として配布、提示、上演、演奏、上映、口述されている著作物であることが
必要です。
・その著作物の種類や用途などから判断して、著作権者の利益を不当に害しないことが必要です。
・慣行があるときは出所の明示が必要です。
(6)試験問題としての複製、公衆送信(著作権法第36条)
・すでに公表されている著作物については、入学試験などの問題として複製又は公衆送信することができます。
・試験・検定の目的上必要な限度内であることが必要です。
・公衆送信の場合、その著作物の種類や用途並びに送信の形態などから判断して、著作権者の利益を不当に害しないことが
必要です。
・営利目的の試験・検定の場合は、著作権者に補償金を支払う必要があります。
・慣行があるときは出所の明示が必要です。
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