2016.12.28
実演家の権利~その2
今回は、実演家の権利の続きについてご紹介します。
<実演家の権利>
(2)実演家の財産権
・実演家の財産権には、実演の録音、録画などの利用を占有し、使用料などの条件をつけて許諾する権利(許諾権)と
実演の放送などに対し、報酬を請求できる権利(報酬請求権)があります。
<許諾権>
・許諾権には、以下のような権利があります。
①録音権、録画権(著作権法第91条第1項、2項)
・自分の実演を録音、録画できる権利です。
第三者は、無断で歌手などの実演を録音、録画することはできません。
・CDなど実演の録音物を、私的に楽しむこと以外の目的でコピー (複製) する場合にも、作詞家や作曲家だけでなく、実演家の
了解 (録音権の許諾) が必要となります。
・劇場映画、Vシネマのような映画の著作物において、実演家の許諾を得て録音、録画された実演については、この映画を複製
することは、録音権、録画権の侵害にはなりません。しかし、サントラ盤のように映画の著作物から録音物を作成する場合に
は、録音権、録画権が働きます。
②放送権、有線放送権(著作権法第92条)
・実演家は、実演を放送し、有線放送することができます。
・実演奏のみならず、実演家の許諾を得ないで作成されたレコードなどを放送する場合にもこの権利が働きます。
・実演家の許諾を得ないで映画の著作物に録音、録画された実演を放送する場合にもこの権利が働きます。なお、サントラ盤な
どを用いた放送にもこの権利が働きます。
③送信可能権(著作権法第92条の2)
・実演家は、実演を、サーバー等の「自動公衆送信装置」に「蓄積」「入力」することにより、「受信者からのアクセスがあり
次第『送信』され得る」状態に置くことができます。
・この権利は、自分の実演が「録音」されたCDなどを使って、送信可能化する場合にも働きます。
・映画の著作物に録音・録画された実演において、実演家の了解を得ないで作成された作品を用いる場合に権利が働きます。
・なお、サントラ盤等を用いる場合については、実演家の了解の有無にかかわらずこの権利が働きます。
④譲渡権(著作権法第95条の2)
・演奏家の実演が、録音されたCDなどを公衆向けに譲渡することができる権利です この権利は、いったん適法に譲渡されたC
Dなどについてはなくなりますので、購入したCDなどの転売は自由です。
・映画の著作物に録音・録画された実演においては、実演家の了解を得ないで作成された作品を用いる場合は、この権利が働
きます。 なお、サントラ盤等を用いる場合については、実演家の了解の有無にかかわらずこの権利が働きます。
⑤貸与権(著作権法第95条の3)
・実演家の実演が録音されたCDなど(市販用に限る)を公衆向けに貸与することができる権利です。
この権利については、立法時の経緯から、特別の扱いがなされており、発売後「1年間は許諾権」「残りの49年間は報酬請求
権」とされています。
次回は、実演家の財産権の続きで報酬請求権についてご紹介します。
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