2015.09.01
近年、コミュニティ・ビジネスと呼ばれるビジネスモデルが注目されています。
これは、地域が抱える課題をビジネスの手法により解決し、またコミュニティの再生を通じ
て、その活動の利益を地域に還元するというビジネスモデルのことです。
つまり、社会貢献を目的としながら、ビジネスとして事業を行い、収益を上げ、事業活動で
得た収益は構成員に分配しないで、事業活動に充当していく。
事業が軌道にのれば、本来の活動目的である社会貢献活動が安定的に、継続的に、また、事
業の拡大へと向かえるわけです。
これらのビジネスは、もちろん法人格を持たない任意団体の活動でも可能ですが、やはり、
特定非営利活動促進法(NPO法)に基づく、NPO法人のほうが、社会的な信用を得ること
ができるでしょう。
<NPO法人設立手続>
・NPO法人を設立しようとする団体は、一定の書類を添えた申請書を所轄庁に提出し、
所轄庁では、法に定められた基準や手続きに従って審査し、問題がなければ認証
することになります。認証を受けた団体は、法務局に行って法人登記申請を行って
NPO法人設立となります。
<NPO法人の主な要件>
NPO法に定められているNPO法人の主な要件は、以下の通りです。
1.活動目的
NPO法によって、NPO法人が主たる活動の目的とすることができる分野は、
以下の20分野と決められています。
①保健、医療又は福祉の増進を図る活動
②社会教育の推進を図る活動
③まちづくりの推進を図る活動
④観光の振興を図る活動
⑤農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動
⑥学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
⑦環境の保全を図る活動
⑧災害救援活動
⑨地域安全活動
⑩人権の擁護又は平和の推進を図る活動
⑪国際協力の活動
⑫男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
⑬子どもの健全育成を図る活動
⑭情報化社会の発展を図る活動
⑮科学技術の振興を図る活動
⑯経済活動の活性化を図る活動
⑰職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
⑱消費者の保護を図る活動
⑲①~⑱に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
⑳①~⑲に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動
*主たる活動の目的となるのは、上記の20分野ですが、本来の事業に支障がない範囲で
この20分野以外の事業を行うことも可能です。
2.営利を目的としないこと
営利を目的としないとは、利益を上げてはいけないという意味ではなく、「利益を関係者に分配せず、
団体の活動目的を達成するための費用に充てる」という意味です。
3.NPO法人の構成員
理事、監事、社員、職員(従業員、スタッフなど)から構成されます。
・理事:NPO法人の役員、NPO法人の業務内容を決定し執行する。
3人以上必要ですべての理事に代表権がある。
・監事:NPO法人の役員、理事の業務執行や収支状況を監督する。
1人以上必要。
・社員:NPO法人の最高意思決定機関である社員総会における議決権を持つ者をいう、
株式会社の株主にあたり、NPO法 人に雇用されている所謂職員とは異なる。
10人以上必要。
・職員:NPO法人に雇用されている従業員などをいう。無給のボランティアも広い意味で職員。
4.社員の資格
社員の資格の得喪に関して、不当な条件を付さないこと
5.役員の報酬
役員(理事、監事)のうち、報酬を受ける者の数が、役員総数の3分の1以下であること
6.宗教活動や政治活動を主たる目的としないこと
7.特定の公職者・候補者や政党を推薦、支持、反対することを目的としないこと
8.暴力団ではないこと
暴力団ではないこと、暴力団又はその構成員等の統制下にある団体ではないこと
以上が特定非営利活動促進法に定められている、NPO法人の設立と要件の概要です。
次回は、NPO法人設立までの手続きについて簡単にご紹介します。
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