消費者契約法の見直し案について

2015.08.10

皆さん、消費者契約法という法律をご存知でしょうか?

この法律は、平成13年4月施行の法律で簡単に説明すると、一般の消費者と

事業者が契約する際に、消費者に不当に不利な契約が結ばれないようにする

ためのルールを定めた法律です。事業者が消費者に重要な事実を伝えずに

契約がなされたような場合、消費者は契約を取り消すことができます。

つまり、悪質な事業者から消費者を守るための法律です。

 

現在、政府では、この法律の見直しが検討されていて、8月7日に政府の

消費者委員会の専門調査会が、この消費者契約法改正に向けた中間報告

をまとめました。

見直しの具体策については、9月以降に検討を本格化させるとのことです。

 

見直し案は、もちろん消費者保護の強化が目的です。

近年のインターネット取引の拡大など商取引環境の変化に対応したものと思われます。

見直しの焦点となった課題は、「勧誘要件」「断定的判断の提供」「不利益事実の不告知」

「重要事項」「不当勧誘行為に関するその他の類型」「第三者による不当勧誘」など

多岐にわたる模様です。

 

本日(8月10日)の日経新聞は、この改正案に対し、副作用が大きいとの社説を掲載しています。

 

<社説要旨>

特に「勧誘要件」の緩和と「不利益事実の不告知」が不特定多数に向けられた広告も

対象になる可能性がでてきて、店舗や消費者の自宅での勧誘に加え、テレビやラジオ

のCM、ネット広告、テレビショッピング、通信販売のカタログなど対象が大きく拡大する

おそれがあり、これらの規制が重なると、事業者にとってはビジネスに大きな影響が出る

公算が大きい。

 

私は、善良な事業者もいる中、悪質な事業者が現に存在し、多くの被害がでている

ことから消費者を法律で守るとは必要だと考えています。

業界の自主ルールなど悪質業者にとっては何の規制にもなりえないと考えます。

今後とも、消費者委員会の専門調査会と経済界とのさらなるコミュニケーションに期待しています。